美少女ゲームで考えるAIと感情~ATRI編~

1.はじめに

アローラ!とょたと申すものですぅo(゚∀゚)o

突然ですが、皆さんは

ロボットに感情は必要だと思いますか?

好きな二次元キャラをアンドロイド化するために欲しい、ロボットの反乱が怖いから要らない、ロボット(AI)に感情は芽生えないので議論に値しない…

色々な意見があると思います(´、ゝ`)

私自身は、感情を持つアンドロイドと一緒に社会で生きたいと思っており、そういったテーマの美少女ゲームを好んでプレイしています☆d(> ﻌ <๑`)
そこで、今日は美少女ゲームにおけるAIの感情」について独断と偏見で評価していきます٩(ü)ว
この記事を読めばちょっとだけAIの感情について詳しくなれちゃうかも゚+.(◕ฺ ω◕ฺ )゚+

 

本日紹介する美少女ゲームは…

  • ATRI-My Dear Moments-

です!(๑•̀ㅂ•́)و✧今steamで半額セール中なので、ネタバレが気になる方は買ってプレイしてからこの記事を読んでね(๑˃̵ᴗ˂̵)و

 

ネタバレを含むこと、「ゲームの感想」ではなく「ゲーム内におけるAIの感情」についての感想であること、ライター個人の考え方ではなくあくまでも登場キャラの考え方に対しての感想であること、AIの感情における理論は宗派が色々あること、以上については注意してくださいね<o( ̄^ ̄)o>
あと、記事の中身に生産性は全くないです、生産性は、全く、ないです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

本編スタート!!!!!!

 

ATRI-My Dear Moments-

ATRIは物語のテーマの根幹にアンドロイドと感情に関する話があるため、序盤~終盤にかけて広くAIと感情について語られます登場人物の成長や物語の進行に応じて色々な話が出てくるので、それぞれ分けて議論していきます♪( 'ω' و(و

 

2.1 序盤 -意識・発達と感情-


最初のアトリが家にやってくる時のモノローグから見ていきましょう!
まずはこちら!




「AIが発達して、ロボットは感情表現を獲得した。」

ヒューマノイドは、人の姿をし、人と共に暮らす事で、自然と人間と同じような感情を持つようになる......と言われている」
「AIのそれは経験によって得た反応の積み重ねであり、学習を繰り返した結果に過ぎない。」

これらの文について考える前に、近年感情研究会で主流となっている理論である、構成主義的情動理論[1]について考えていきましょうか(〃ノдノ)
※[1]LF barrett. How Emotions are Made: The Secret Life of the Brain, 2017.

構成主義的情動理論は、ざっくり言うと人間の感情は発達過程で獲得されるものであるという理論です。
具体例で考えてみましょうか╭( ・ㅂ・)و ̑̑


私たちは子供の頃、大人たちから「クルマ」「イヌ」などの名前を教えてもらうことで、言葉を獲得していったと思います。これは、視覚(クルマの見た目)や聴覚("クルマ"という単語)の情報間の関連性を学習していったとも言えます。

私たち人間は感情も同様にして学習します。例えば、涙を流している時は「悲しい」と大人から教えてもらい、時には泣いている人が自ら「悲しい」と発言するのを観察して、「悲しい」を獲得していきます

この視点でもう一度先ほどのセリフを見てみましょうか(  'ω')

「AIが発達して、ロボットは感情表現を獲得した。」
ヒューマノイドは、人の姿をし、人と共に暮らす事で、自然と人間と同じような感情を持つようになる......と言われている」

 

この文章たちに違和感を覚える人はいるでしょうか?先ほどの話と照らし合わせてみると、ヒューマノイドが人間と暮らし、人間に感情を教示してもらうことで感情を学習している」と捉えられますね、つまり現在の感情研究の理論的に言えばこれは理に適っていると言えます(b`-ω-´)b

 

しかし次の一文を見てみましょう

「AIのそれは経験によって得た反応の積み重ねであり、学習を繰り返した結果に過ぎない。」


ナニイッテンダコイツ(・∀・)??

これこそが人間の感情の本質なのでは......❓というか人間でも他人に合わせるために嘘の感情を表現することはザラにあると思うんですよね、そいつらは感情が無い(暗黒微笑)なんでしょうか(T-T )

気を取りなおして、主人公にはヒューマノイドに感情が無いと思う理由が別にあるみたいです(๑`• •´)و

次はそちらを見てイキましょう!!!!!

ドン!!!!!!!!

なるほど、ヒューマノイドには意識が無いから感情が無いという考えですか、これには賛同できますね!

実際Barretの本でも「感情(本の中では情動だけど)」は主観的で感情的な経験のことを指しています(*`・ω・)ゞ

 

余談ですが、私は感情には「意識的な側面」「機能的な側面があると考えています。「意識的な側面」は前述の通り意識的に経験する感情、「機能的な側面」は「脅威から本能的に逃げる」のような感情的な行動に関わる部分です。

例として、ネズミや虫を考えてみてください!ネズミや虫に感情はあるか?と聞かれると「うーん」って感じの人が大半だと思います。

しかし、ネズミや虫も「脅威から逃げる」行動はとりますよね???つまり、彼らには「機能的な感情」はあるけれど「意識的な感情」はない、と仮説を立てることができます(*,,-ㅿ-,,)b

主人公の中ではヒューマノイドもそういった存在なんだと考えられますね~

 

ここで一つの疑問が生じます。意識の有無はどうやって判定しているんだ?

ヒューマノイドに意識が無ければヒューマノイドは感情を持たない」はまあ同意できますが、ヒューマノイドに意識が無い」ことはどうやって考えればいいんだ…。

今現在の世界では、「脳」に関する理論は「自由エネルギー原理[2]」等で大分発展してきた感じがするのですが、「意識の理論」はまだまだ発展途上というか始まってすらいない感じがすごいんですよね……∑(O_O;)

[2]K Friston,The free-energy principle: a unified brain theory?,2010


もしかすると、ATRIの世界では意識に関する共通の理論が確立されていて、その定義から間は意識を持ち、アンドロイドは意識を持たないことが証明されているのかもしれない…( ˘•ω•˘ ).。oஇ?

序盤のまとめとしては、ヒューマノイドに感情が無いと主人公は主張するけど、ヒューマノイドの感情の学習理論は人間とほぼ同じのため、感情があるか否かは意識の有無が争点。なのに意識について議論されていないのが残念……です。°(´ฅωฅ`)°。

 

2.2 中盤:-身体性と感情-

ここからは、アトリが感情を持っていない?ことが判明するシーンについて見ていきますね☆d(> ﻌ <๑`)


まだプレイしてないやつは流石にブラバしろ!!!!!!!!!!!!

 

ふーーーーーーむ、なるほど。
「アトリは人間のような感覚器官を持たないため感情が無い」
「表情は心から生じるもの」

「ヒトを観察して、状況から適切な表情をアウトプット」
「アトリには心が無い」

らへんが主なトピックですかね、順番に見ていきましょうか。

「アトリは人間のような感覚器官を持たないため感情が無い」
これはある意味でその通りだと思います。人間と違った感覚情報(例えば、心拍が無いから怒ったり興奮しても心拍数は上がらない)が常に入ってくる状況で、人間と全く同じ感情を学習するとは考え難いです。ただし、「他人と全く同じ感情」が無いだけで「アトリとしての感情」は生じていると考えられます( ´∀`)b


「身体が違えば違う感情が生じる」
のは当たり前ですよね、そうでなければ全人類同じ感情を持っているはずですからね。その意味でアトリの感情も感情の範疇からは外れていないと私は思います.+:。(・ω・)b゚.+:。


「表情は心から生じるもの」
簡単な言葉に直すと「人間は喜びを感じたときに笑顔になる」といった意味だと推測できます。これは心理学の分野では「キャノン=バード説」と呼ばれるものです。(簡単に理解できる説なので詳細が気になる人は「ジェームズ=ランゲ説」と一緒にググってください。)

なぜ序盤の感情理論は令和最新版だったのにここにきて黎明期の化石理論が使われているんだッ……!?

著者の人色々調べすぎて頭ぐちゃぐちゃになってたんじゃねぇかな。。。。。。

「ヒトを観察して、状況から適切な表情をアウトプット」

アトリは周囲の状況から「今は笑顔になるべき場面だ」と判断して笑顔になっていただけである、ということですね。これは正直難しい問題ですねぇ(悩ω悩).。oஇ

人間で考えてみましょうか。例えば心拍数がめちゃくちゃ上がったとき、あなたは「興奮」していますか?「恐怖」していますか?これだけだと分からないですよね(;-ω-)
ライブ会場にいるなら「興奮」だろうし目の前にGがいるなら「恐怖」でしょう。
つまり、人間も多かれ少なかれ「外界の情報を頼りに自分の感情を経験している」と言えると思いませんか?????

その視点で見るとアトリと人間では、感情認知について、周囲の状況の比重が大きいか、身体反応の比重が大きいかの差異程度しかないんじゃないかなぁ…と思いますね(。-`ω-ก)
まあ最低でも、「アレキシソミア(自身の身体からの情報を知覚できない)」の患者さんとほぼ同じ感情を持っていると思えば間違いないでしょうねぇ

「アトリには心が無い」
「心」の定義をしてくれ!「心」ってなんだ???(サクラノ詩
「意識」と「心」で序盤と別の言葉で描写されているのも気になるますね(発言者が主人公とアトリで違うが)。「意識」と「心」をどういう使い分けで使ったのか、なぜわざわざ両方持ち出したのか、分からない、分からないよ(;^ω^)・・・

中盤まとめ:感情理論において「個人差の範疇」「感情の有無」の領域の話を完全に切り分けて考えるのは難しい!!!!!!!!!
個人的にはアトリの話は「個人差」の範疇なんだけど人によって意見分かれそうだなあ……
2.3 終盤 -知っとるやないか-
いよいよ最終盤の話に入るよ!!!!!
見ていきます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


この中で気になるセリフとしては…
「人の反応だってそうだろう。成長の過程で周囲の関係性から学んでいく」
「AIは意識を持たない。意識が無いから自発的に目的を持つことができない。」
じゃあラスト、みていきます!(๑•ㅂ•) ok❢

「人の反応だってそうだろう。成長の過程で周囲の関係性から学んでいく」

………………
知っとるやないか!!!!!!!!!!!!
序盤の私の熱い語りなんだったの……?というか令和最新版感情理論「構成主義的情動理論」が普及してる世界線で昭和最新版「キャノン=バード説」推してたアトリはなんだったんだ……

「AIは意識を持たない。意識が無いから自発的に目的を持つことができない。」

これは序盤の「意識とは何か」に関するアンサーですかね?つまり、著者的には「自発的に目的を持って行動する存在=(イコール)意識がある存在」と定義しているようですね° ✧ (*´ `*) ✧ °
(まあ自発的とか目的とか新しい抽象概念で言い換えただけ感は否めないが)

ここでFristonの「自由エネルギー原理」[2]を導入してみましょうか!!!
「自由エネルギー原理」は「能動的推論」という概念を内包しています☆ミ
能動的推論はめちゃくちゃ簡単に言うと、「人間は生きるために行動を行っている」という理論も含まれています!
これがめちゃくちゃ大事で、今のロボットに人間のような意識が無いのは「ロボットは死なないから」だと主張する研究者もいます!!!◊ ( ∩ˇωˇ∩) ◊

じゃあアトリもロボットだから「生きる」という目的が無くて「意識」が無いで良いんだろうか……❓
あれ?????アトリって死n( ^ω^)・・・
もし「ヤスダの先生」「アトリに活動限界=生命活動終了」の機能を付けることで意識を芽生えさせることに成功、最後に繋がっているのか……?。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。


脚本の人そこまで……考えてた……のかな……???

終盤まとめ:ここまでガバ穴ダディで崩壊してた感情理論だけど、主人公の成長で綺麗にまとまってヨシ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

3. まとめ
ここまでATRIの中に登場するAIの感情について、現在の研究との比較から色々言わせてもらいましたが、全体的な感想としては

「感情の理論について勉強してきたのが伝わってきてGood!」
「ちゃんと描写できるかどうかはともかく、文章として書こうという心意気、良し!」
「色々調べすぎて昔の理論と今の理論ぐちゃぐちゃになってる感はある」

ですね(ง ´͈౪`͈)ว
あと、「意識」「心」みたいな曖昧な概念の取り扱いには十分注意しましょう…(´_`。)
でも、本当に書こうという心意気はめちゃくちゃ良いと思いますよ、私は。そういう知見の積み重ねでアカデミックは進歩していくものですからね。

以上、お相手はとょたでした!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

質問・クレーム等はXアカウント(@12toyotad05)までどうぞ!